Semifinals Fujimoto Mikio vs. Kawakita Shiro

By Shimizu Naoki


UWGクロックパーミ
川北

実はスイスラウンドで1度当たったという藤本幹雄と川北史朗。準決勝という大舞台で再びの激突だ。藤本はスイスラウンドでは川北に負けてしまったとのこと。果たしてリベンジとなるのか。
昨日はCDCで同じデッキを使って惨敗だったという藤本。 打って変わって今日は256人という参加者の中ここまで勝ち上がってきたことには脱帽だ。
もちろん対する川北も準決勝まで勝ちあがったという立場は同じ。だが「フィーチャーで負けたんですよね」とあまり自信は無さそうである。せっかく掴んだ4/256、全力を尽くして戦って欲しいところだ。

藤本のデッキはラウンド8でフィーチャーした青緑のScryb&Force。対する川北はラウンド7でフィーチャーした、《一瞬の瞬き/Momentary Blink(TSP)》と《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch(RAV)》などの187生物のコンボを組み込んだトリーヴァカラーのコントロールだ。クロックパーミッション対コントロール、果たして決勝に駒を進めるのはどちらか。
互いにデッキレシピを交換し、藤本は「《マナ漏出/Mana Leak(9ED)》無いんだ!ずっと警戒してたー」とこぼす。こうした情報はプレイングに大きな影響を与えるものだ。

「先攻後攻の差が大きすぎる」とは川北。運命のダイスロールの結果は・・・

藤本勝利。

いきなり「もう負けじゃん〜」とげんなりする川北だが・・・。



Game 1
先攻は藤本、7枚のカードを見るとすぐにキープを宣言。これに対し川北は「・・・やべー」と言いつつもとりあえず2ターン目に印鑑を置けそうな初手をキープ。

注目の第一ターン、やはり藤本は《森/Forest(TSP)》から《極楽鳥/Birds of Paradise(8ED)》とスタート。見た瞬間キープを納得させる立ち上がりだ。一方川北は《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast(9ED)》で静かにターンを返す。
そして第二ターン。
《森/Forest(TSP)》から姿を現す《オーランのバイパー/Ohran Viper(CSP)》。

コントロール相手に先手で2ターン目に《オーランのバイパー/Ohran Viper(CSP)》を出すということは、まさに死刑宣告に等しい。青白緑である川北がこれに対処するには《糾弾/Condemn(DIS)》しかないのだ。
川北は《トロウケアの敷石/Flagstones of Trokair(TSP)》から《アゾリウスの印鑑/Azorius Signet(DIS)》を設置し、《オーランのバイパー/Ohran Viper(CSP)》の噛み付きを甘んじて受けざるを得ないと判断。


藤本は《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven(TSB)》を設置しつつ、《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(9ED)》を召喚。この伝説の土地により、《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(9ED)》は《密林の猿人/Kird Ape(9ED)》となる。1マナ2点のクロックは、川北にとってはあまりに大きい。

UG Scryb&Force
藤本

《オーランのバイパー/Ohran Viper(CSP)》による攻撃を行い、2マナを立てて最速の《神の怒り/Wrath of God(9ED)》に備える藤本。磐石だ。
川北の第3ターン。そろそろ《オーランのバイパー/Ohran Viper(CSP)》をなんとかしなければ負けは必至である。土地を置いてマナを出し・・・ 
あれ?

置いた土地は《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven(TSB)》!?

レジェンドルールにより、双方の《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven(TSB)》が墓地に置かれる。川北は完全にこれを忘れていたようで、「ミスったー」と叫ぶ。対する藤本も攻めの減速が決まったためかあまり良い顔はしていない。
計算の狂った川北は、またも《オーランのバイパー/Ohran Viper(CSP)》に対し何も出来ないままターンを返す。
どうやら対消滅は藤本にとっても予想外だったようで、藤本は土地が止まってしまう。だがそんな中でも《知恵の蛇/Ophidian(WTH)》の生まれ変わり、《オーランのバイパー/Ohran Viper(CSP)》は更にカードをもたらす。《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(9ED)》を追加し、また《神の怒り/Wrath of God(9ED)》に備える。

このあたりで、少し気になることが起こる。川北が「《神の怒り/Wrath of God(9ED)》欲しいなー」と藤本に聞こえるように言ってしまうのだ。即ち、これは「僕は《神の怒り/Wrath of God(9ED)》持っていません」と宣言するのに等しい。

筆者の脳裏によぎったのは「口三味線」。いわゆる「シャミ」だ。対戦相手に誤った情報をひけらかし、騙してしまうという「ブラフ」の一種である。

続くターンにも土地を置くのみで何もしない川北。《オーランのバイパー/Ohran Viper(CSP)》によって新たな土地を得た藤本は先ほどの発言を受けてか《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》を召喚する。川北は《神秘の蛇/Mystic Snake(TSB)》で打ち消しにかかるが藤本は少し考えたあと返しに《神の怒り/Wrath of God(9ED)》が来ることはないと判断したか、《差し戻し/Remand(RAV)》によってこれを阻む。

これで藤本はタップアウトとなった。

もしこれで川北が《神の怒り/Wrath of God(9ED)》を持っていたとしたら、藤本は完全に騙された形となる。一度場を一掃できれば、川北は息を吹き返す。

しかし。

川北は本当に《神の怒り/Wrath of God(9ED)》を持っていなかったのだった。

続くターン、「ここで《神の怒り/Wrath of God(9ED)》引くんだぜ」と言いつつ意気揚々とドロー。神に見放される川北。
そのまま最後まで《神の怒り/Wrath of God(9ED)》を見つけることなく、川北は《オーランのバイパー/Ohran Viper(CSP)》がもたらす圧倒的アドバンテージの前に屈することとなった。


藤本 1-0 川北
気づいたときにはもう遅い


カウンターを減らし、《糾弾/Condemn(DIS)》《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch(RAV)》などを追加してクロックに備えた川北に対し、《撤廃/Repeal(GPT)》や《神の怒り/Wrath of God(9ED)》を知る藤本は《獣群の呼び声/Call of the Herd(TSB)》《幽体の魔力/Spectral Force(TSP)》を諦めて《巨大ヒヨケムシ/Giant Solifuge(GPT)》《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir(TSP)》を投入。非常に基本的なサイドボーディングだ。

Game 2
「事故って終わりそう」
先ほどの負けが堪えているのか、ややネガティヴになっている川北。
だが今度は川北の先行なのだ。2ターン目に印鑑が置ければ、例え先ほどのように2ターン目に《オーランのバイパー/Ohran Viper(CSP)》が出たところで対処が間に合う。

両者マリガン無しで始まったこのゲーム、またも藤本は《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven(TSB)》からの《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(9ED)》スタート。表情を曇らせる川北。
川北は《繁殖池/Breeding Pool(DIS)》をアンタップで出し、《差し戻し/Remand(RAV)》を構えてターンを返す。
存在がバレバレな《差し戻し/Remand(RAV)》は藤本のメインフェイズ《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》にキャストされ、《シミックの成長室/Simic Growth Chamber(DIS)》を置いてターンを終える藤本。ここまでは川北の調子だ。
川北は《アゾリウスの印鑑/Azorius Signet(DIS)》から再び《差し戻し/Remand(RAV)》の匂いをちらつかせながら《宝石鉱山/Gemstone Mine(WTH)》を置く。
しかし調子のよかったはずの川北、これは自らの土地が止まったことを意味する。
好機と見たか、藤本は《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》を召喚し、これが受け容れられる。土地が止まった川北はとりあえず印鑑でマナを伸ばす。先ほど待望していた《神の怒り/Wrath of God(9ED)》はしっかり握って、《交錯の混乱/Muddle the Mixture(RAV)》による後押しによってねじ込もうという考えだ。
続くターン、《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad(TSP)》《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(9ED)》による攻撃の後《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》を出し、緑青青というマナを立ててターンを返す。

川北は勝負に出る。ドローが《島/Island(TSP)》であることを確認し、「よしっ」と一声いれながら土地を置く。これで6マナ。相手の立っているマナは3マナ、《差し戻し/Remand(RAV)》されても《交錯の混乱/Muddle the Mixture(RAV)》を使えば《神の怒り/Wrath of God(9ED)》は確実に通る・・・!

しかし。

《神の怒り/Wrath of God(9ED)》は鎮まった。

一体どうやって?

Scryb&Forceを使用したことのあるプレイヤーならお気づきだろう。
藤本は《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger(TSP)》の能力により《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(9ED)》をアンタップし、1緑青青を確保して《神秘の蛇/Mystic Snake(TSB)》を呼び出したのだ。

クリーチャー呪文は《交錯の混乱/Muddle the Mixture(RAV)》ではどうしようもない。

予想を裏切られ、現実を直視して完全に凍りつく川北。
うつむきながら《神の怒り/Wrath of God(9ED)》を墓地に置く。

もはや完全に流れは藤本だ。《一瞬の瞬き/Momentary Blink(TSP)》を構えながら、最後のあがきとばかりに召喚しようとした《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch(RAV)》も《神秘の蛇/Mystic Snake(TSB)》の牙の餌食となる。でも、ライフはまだある・・・!

そう思った瞬間。

《岩石樹の祈り/Stonewood Invocation(TSP)》

《交錯の混乱/Muddle the Mixture(RAV)》を握り締めながら、川北は自らの負けを認めた。


藤本 2-0 川北

Result: 藤本 win! 決勝進出!!
(《クウィリーオン・レインジャー》+
《スクリブ・スプライト》)÷2=これ